安谷川(アダニガー) 那覇市
【場所】
沖縄県那覇市首里大中町1丁目60のすぐ南の窪地。県道29号「龍潭通り」の龍潭前にある旧中城御殿から北へ儀保交差点に向かう道に入る。250mほど行くと古い石垣のある玉那覇味噌醤油工場があり、そこから20mほどのところに、左へと下る民家と民家の間の古い石段があり、そこを下ると安谷川がある。
【駐車場】
付近には駐車場はないので、儀保駅や首里城から散策がてら訪れると良いだろう。
【歴史】
15世紀ころから存在するという、かなり古い湧水である。案内板には以下のように書かれていた。
「王府時代は首里城から島尻、中頭、国頭へ宿道(王府時代の国道)がそれぞれ通り、番所(現在の市町村役所)から番所へと結んでいました。
浦添への宿道は、龍潭の北側松崎馬場跡から安谷川嶽(あだにがーたき)前を通り、儀保大道(じーぶうふみち)に続き、浦添番所へ通じていました。安谷川は、その坂の途中にあります。
このガー(井戸)は長方形に1メートルほど掘り下げられ、まわりの石積みはあいかた積みになっています。また水汲みの広場は石敷きになっていました。
排水は窪地のため、西端の暗渠を通して40メートルほど離れた川に流れるようにしてあります。石工のすぐれた技術を知るよい資料といえます。
15世紀中ごろの古謡「屋良くわいにや」にも歌われているので、古い時代からこのカー(井戸)のあったことがわかります。地域住民の日常生活に関わりを持った共同井戸として、大切な史跡です。」
【現在の利用】
拝所として大切にされているようだが、水自体はもう利用していないのだろう。
【感想】
閑静な住宅街と古い湧水というギャップがすばらしい。また石段も良い雰囲気だ。安谷川の近くには、加良川、宝口樋川、佐司笠樋川、さくの川と個性的で興味深い湧水が多い。
民家の壁に挟まれた幅の細い石段を下りていくと、そこには時代の流れから取り残されたような安谷川が。
水槽は美しい「あいかた積み」で造られている。
水は出ているが、濁っているのが少々残念である。
安谷川へ下る石段は古く風情がある。閑静な住宅街から異世界への入口のようだ。
反対側の石段もかなり古い。